サマーウォーズ 暗号 答え。 サマーウォーズの健二は数学の天才!何の数式を使って暗号を解いた?

情報工学~サマーウォーズの暗号に挑む~

サマーウォーズ 暗号 答え

映画『サマーウォーズ』のセキュリティ描写に、大人げなくツッコんでみる July 2, 2015 17:00 by 西方望 2009年に公開されたアニメ映画『サマーウォーズ』は、興行収入16億円以上とヒットし、今でもファンが多い作品だという。 物語の主軸は仮想空間(メタヴァース)で発生した極めて重大なサイバー犯罪との戦いであるため、コンピューターやセキュリティに関する描写が多数登場する。 ただ、アニメに限らずコンピューターやハッキングを扱った作品にはありがちなことだが、多少なりとも知識を持った人物からすると違和感を覚える場面も少なからずあるようだ。 筆者は今までこの作品を見たことがなかったのだが、明日金曜日(7月3日)にテレビ放送されるということで、それに合わせて「技術的な部分を評価してほしい」とサイバーインシデントレポート編集部より依頼を受け、初めて鑑賞した。 正直、純然たるフィクションの設定に突っ込みを入れるのも野暮だとは思うが、見ていて気になる部分が多々あったのも確かなので、特に気になったものをいくつか挙げたい。 ネタバレしないように記述しているが、中盤までのストーリーを紹介しているので、気になる人は注意してほしい。 なお、この映画の尺は1時間54分ほどだが、テレビ番組表を見ると2時間枠での放映のようなので、実時間1時間30分強程度にカットされていると思われる。 従って、テレビ放送では本稿で論じた部分が登場しない可能性もあることはご了承いただきたい。 舞台となる仮想世界OZ(オズ)の発想の元は、『セカンドライフ』だと思われる。 記憶している方も多いと思うが、日本でも2007年ごろ一時的に話題になったメタヴァースだ。 映画の公開年である2009年には日本はもちろん世界でもすでにブームは収束していたが、映画の企画が出たころにはまだホットな話題だったのだろう。 リアル志向のセカンドライフとは異なり、OZはアバターもワールドもポップなデザインだ。 その規模はセカンドライフよりはるかに大きく、登録者10億人を擁し、「利用率は携帯電話の普及率とほぼ同じ」。 ショッピングや仮想スポーツはもちろん、さまざまな行政手続き、企業間の取り引きなどもOZ上で行え「生活のすべてがOZアカウントに頼っている」とまで言われている。 OZは、パソコンはもちろん、携帯電話やゲーム機、多機能電話からでも利用可能だ。 セカンドライフにFacebook、GoogleやAmazonまで足したものをさらに巨大化し、より現実生活に密着した存在というイメージだろうか。 物語の時代設定は2010年のようなので(序盤で「平成22年」という表記が見られる)、技術的にやや時代を超えている……、というより現在でも無理だろうと思われる部分もあるが、このくらいは目くじらを立てるほどでもあるまい。 問題はここからだ。 高校生が手計算で破れる「世界一高度なセキュリティ」 OZは「世界一高度なセキュリティ」を謳っている。 だがそれがあまりにも容易に破られてしまうのだ。 ある夜主人公の高校生の元に「Solve Me(これを解け)」というタイトルで数字だけを羅列したメールが届く。 もう少しで数学オリンピック日本代表になれるほどの実力だった主人公は、紙の上での手計算でその夜の内に解答を導き出してしまう(物語終盤では同様の計算を1分ほどで、しかも暗算で済ませている)。 そして解答を返信したのだが、朝になるとOZの管理アカウントが乗っ取られ、OZ内は大混乱に陥っていた。 「OZのセキュリティは2056桁の暗号で守られている」のだが、送られてきたのはその2056桁であり、主人公は解答、すなわちパスワードを送り返してしまったのだ……。 この時点で「高校生が手計算で解けるレベルのセキュリティかよ」と思った人は多くいると思う。 だがそもそも、主人公は何を「解いた」のだろうか。 全く無意味に見える文字列や数字を提示して「これを解け」というのは、ハッカー競技Capture the Flag(キャプチャー・ザ・フラッグ:CTF)などでもよく出されるタイプの問題だ。 その場合には数字・文字のパターンや構造がまず手がかりとなる。 しかし主人公が何かすぐわかる構造に気づくといった描写はなく、数字を見るやいきなり計算を始める。 数字のみから解答を求める、そしてセキュリティに関連する(この時点では主人公はそれを知らないが)と言えばまず思いつくのは因数分解だろう。 RSAなど多くの公開鍵暗号方式では、その安全性は「素数同士を掛けるのは簡単だが逆に素因数分解するのは難しい」ということに依拠している。 大ざっぱに言ってしまえば、掛けるのが暗号化、素因数分解するのが復号に相当する。 2桁でさえこれなのだから、現在広く使われている2048ビット暗号(10進数600桁以上)であれば、人力では絶対不可能だ。 というか現在世界中にあるコンピューターを数万年以上総動員しても不可能である。 主人公に送られてきた2056桁が素数の積であれば、2進数にして6800桁以上、つまり3400ビット以上の暗号ということになる。 2010年であれ現在であれ、これを解くのはもちろん無理だ。 だが序盤で、主人公が「Shorの因数分解アルゴリズム」について読んでいる場面がちらっと映る。 Shorのアルゴリズムは量子コンピューターを前提としたもののようなので、そもそも手計算に応用するのは無理だろうが、ちょうど因数分解について研究していたのかもしれない。 その過程で画期的な因数分解手法を発見し、2056桁でもすぐに解けるようになっていたのか……。 しかしそれは世界を揺るがすレベルの大発見であり、数学オリンピック日本代表どころではない。 フィールズ賞をもらっても全然足りないくらいだ。 それに、同じ解はOZ中で50人以上が導き出していたというので、何らかの一般的な解法があったと思われる。 やはり因数分解という線はないだろう。 パスワードを知る手がかりになる数字や文字の羅列なら、パスワードハッシュや暗号化されたパスワードかもしれない。 むろんそれを盗まれるという時点で重大なセキュリティ上の問題だが、それを抜きにしてもやはり不可解だ。 ハッシュは一般的には非可逆の変換なので、ソルト(元データに付加する小さなデータ)を使っていなかったとしても、それ単体でパスワードを知ることはできない。 パスワード候補(辞書)を同じアルゴリズムでハッシュ化したものと比較する必要があるのだ。 ハッシュ値だけから計算して導き出せるものではない。 暗号化パスワードだとしても(パスワードそのものを暗号化して保存するというのは駄目な運用だが)、人力で解けるような暗号化方式で「世界一高度なセキュリティ」もないだろう。 だが、何をどう計算したのかはともかくとしても、「世界一高度なセキュリティ」と言いながら実は人力でも破れるような大穴が開いていたということは当然あり得る。 似たようなことは現実にもよくある話だ。 しかしそうすると今度は、なぜメールが送られてきたかという点が疑問だ。 実はOZを乗っ取ったのは高度な人工知能なのだが(序盤で明らかになる話なのでネタバレにはなるまい)、人間でも簡単にできる程度の計算が、その人工知能にできなかったはずはないだろう。 何もわざわざメールを送り付けなくとも、自分で解析すれば済む話だ。 この点を何とかして解釈するなら、人工知能が意図的に、補題など人間が解けるレベルの問題を送った、ということなのだろう。 この人工知能は「ゲーム」という観点で行動しており、その一環として人間の数学力を知る、あるいはある程度以上の数学能力を持つ人間を見つけ出す、という意味があったのかもしれない。 作中にそれを伺わせる描写はないが。 ただそれにしても、問題の数字が何であり、それをどう「解いた」のかが全くわからないのは、どうにもフラストレーションが溜まる。 インフラがネットに「丸投げ」された恐るべき世界 ともあれOZは人工知能に乗っ取られ、ハッカーものフィクションではお決まりの社会インフラに対する攻撃がはじまる。 OZ上での行政手続きや決済ができなくなったのはもちろん、信号が操作され(具体的な描写はない)交通は大混乱、消防署には偽の出場命令や在宅ケアの患者からの偽の緊急通報が繰り返し送られ、水道の圧力を操作され街頭で水が噴出し、GPS機器は誤った位置を表示する。 インフラがインターネット側から操作されるというのはあり得ない話ではない。 機器の遠隔操作や監視のためのインターネット利用は確実に増えており、ここへの攻撃は以前から(2009年よりも前から)懸念されている。 だが、映画の舞台である2010年はもちろん、現在でもここまでのことがインターネット側からできるはずはない。 しかしこの程度はフィクションとして許される範囲だと思う。 だがこれらの事態は、OZアカウントが乗っ取られたことによって起こったというのだ。 「アカウントと現実の人間の権限はほぼ等しい」「水道局員のアカウントを盗めば水道局のシステムを好きにでき」る……。 ここまで来るとさすがに「そんな馬鹿な」と言いたくなる。 企業にしろ公共機関にしろ個人のアカウントで組織内へのアクセスができるとは思えないので、「水道局員のアカウント」は局内でのアカウントやシステム管理専用のアカウントと解釈するにしても、OZのアカウントで操作ができるということは、水道や交通を管理するシステムそのものをすべて民間企業(おそらく。 OZの運営主体については描写なし)に丸投げしているとでもいうのだろうか。 一種のクラウドサービス的なものかもしれないが、インフラに関わるシステムをそんなものに預けるのは正気とは思えない。 だが、人工知能がインフラ関連情報にアクセスする場面で、システムマップのようなものがちらっと映る。 これをよく見ると、上下水道だけでなく、ダムや送電網、列車の運行システムなどもあり、やはりOZ上で運用されているようだ。 こんな状態では、人工知能による攻撃がなくても、いずれ何か大惨事が起きたことは間違いないだろう。 なお、ここに表示されているインフラを操作できるなら、より大きな損害を生むこともできたと思われる。 だが人工知能がOZをハックしたのは米軍による実験(ちょうど物語の真ん中あたりで出てくる話なのでこれも言っていいかと思う)であり、当初は混乱のみを目的とし、人的被害を招くつもりはなかったのだろう。 もちろん、その後人工知能が制御できなくなるのはお約束というものだ。 また、さすがに原子力発電所などの最重要インフラなどにはOZから直接アクセスできないようだ(「大統領のアカウントを盗めば核ミサイルだって撃てるかも」は高校生の戯れ言で片付けてよかろう)。 物語終盤で、人工知能は別の手段による核施設の攻撃を画策している。 OZから操作できるなら、わざわざそんなことはしないだろう。 それにしても、もし公開当時この映画を見ていたら、「米国のソフトウェア兵器が社会インフラや核施設を攻撃」というのは「まあフィクションだからね」としか思わなかっただろう。 ところが翌年の2010年、米国がイランの核施設を攻撃したといわれるマルウェアが発見されている。 偶然とはいえ、今の方が妙にリアリティのある話になってしまったというのは少々面白い。 一般ユーザーがシステムを書き換え? 主人公たちは200TFLOPSのメインフレームまで持ち出して(このあたりの絵面は楽しい)、人工知能に決戦を挑む。 人工知能をおびき出して、罠に掛けて閉じ込めようというのだ。 だがその「罠」は、なんとOZの仮想世界そのものを書き換えて作られている。 仲間の1人はOZのシステムメンテナンスのバイトをしていたので(主人公もしていたがそのアカウントは乗っ取られている)、ただの一般ユーザーよりは多少ましかもしれないが、まさか世界そのものをいじれるほどの権限はあるまい。 200TFLOPSの計算能力があれば書き換えられるものなのか? 例えば、スーパーコンピューターを使えば一般ユーザーがGoogleのトップページを書き換えられるのか、と考えてみればいかに無茶な話かわかるだろう。 むろん、やはりOZのセキュリティはザルでした、ということかもしれないが、それにしてもシステム書き換えのための手法が知られているわけではあるまい。 それなら分散コンピューティングなり何なりでとっくに悪用されているだろう。 決戦準備のための短い時間(せいぜい数時間程度と思われる)で都合のいい脆弱性を見つけられるはずもない。 また、人工知能を「閉じ込める」というのがソフトウェア的にどのようなことをしているかは不明だが、そこまでの計算能力が必要なものだろうか。 むしろ応答性の方が致命的のように思える。 この作戦のために陸上自衛隊の衛星通信車両を使って通信を行っているのだが、相手がもし静止衛星だとすると(アンテナの仰角が大きく、地上局との交信とは考えられない)その距離は3万6000km。 電波が往復するのに0. 24秒もかかるのだ。 準天頂衛星でも大差ない。 このラグでは、人工知能の反応に追随するのは絶望的だ。 日本では運用していないが、低軌道の通信衛星だったなら往復300分の1秒程度だが、これでも人工知能側にとっては十分な余裕が生まれるだろう。 なお、人工知能をおびき出す目的の格闘ゲームのために、液晶ではなく描画遅延の少ないHDブラウン管モニターを用意するという場面もある。 上級者は1フレーム(60分の1秒)の遅れすら気にするので、これは理解できるが、もし静止衛星だったら1フレームどころの騒ぎではなく、もはやゲームにならないレベルだ。 だが、格闘ゲームの方は自宅に元々あった回線を使ったと解釈すればこの点は問題ないだろう。 以上、いくつかの点を挙げたが、細かい部分で言いたいことはまだたくさんある。 だが映画そのものの出来が悪いわけではなく、むしろアニメーションの質は非常に高いと言ってよい作品だ。 ただそれだけに、このような理屈に合わない点が余計気になってしまう。 枝葉末節ならともかく、仮想世界OZは話の中心なのだ。 しかしそれでも見て損はない作品だと思うので、フィクションと割り切って気にせず鑑賞するなり、突っ込みを入れながら見るなり、金曜日の放映を楽しんでいただきたい。 7月4日以降にこの記事をご覧になった方も、もし未見であればレンタルなりVODなりで見る価値は十分あると思う。

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サマーウォーズのその後を小説でネタバレ!夏希と健二は結婚した? | マジマジ情報局

サマーウォーズ 暗号 答え

夏なのでサマーウォーズ見ました。 面白かったです。 OZの暗号は実際にあった1977年の暗号の答えと孔子の言葉みたい — ねじまき nezimakibird サマーウォーズでケンジが解いた暗号の答え 「「知る」ということは自分自身が無知であることを自覚することである それが知識の真の意味なのだ」って書いてあるけど此れが最高難度の暗号の答えなんて、皮肉にも程がある — 涼 imanimekakibou 本作品で登場する仮想空間OZのセキュリティは2056桁の暗号で守られていましたが、送られてきたのはその2056桁であり、主人公・健二は解答、すなわちパスワードを送り返してしまった事により、OZは大混乱に陥ります。 では、元ネタと意味について紹介します。 暗号の意味と元ネタについて( Shorの因数分解アルゴリズム) の暗号文の答え。 一文目は有名な暗号文懸賞の答えで、二文目は孔子の言葉。 『無知の知』 — ゆーすけ kawauchi1000 ちょっと調べてみたらサマーウォーズにでてくる鍵は1138桁で、それを暗算で素因数分解したらしい。 RSA暗号の意味ぃ — USHIODA🛰 USHIODA18 冒頭の一行はRSA-129(桁数が大きい合成数の素因数分解問題が困難であることを安全性の根拠とした公開鍵暗号の一つであるの回答のこと。 )であり、2文目はソクラテス・孔子の言葉「無知の知」になっています。 「無知の知」とはソクラテスが言葉として有名ですが、似たような言葉として孔子も述べています。 他人の 無知を指摘することは簡単であるが、言うまでもなく人間は世界のすべてを知ることはできない。 ギリシアの哲学者ソクラテスは当時、知恵者と評判の人物との対話を通して、自分の知識が完全ではないことに気がついている、言い換えれば 無知であることを知っている点において、知恵者と自認する相手よりわずかに優れていると考えた。 よっぽどOZの管理者はあらゆるものを悟っている人物ではないでしょうか。 また、この暗号の元ネタは主人公・健二が作中で一瞬読んでいる本に由来しています。 その本は「Shorの因数分解アルゴリズム」です。 Shorのアルゴリズムは量子コンピューターを前提とした著書となっています。 コンピューターが処理する上で、暗号や記号に関する仕組みが提唱されている書物になります。 仕組みを理解していたからこそ、健二は暗号を解く事ができたと推測します。 全て計算された上で、この本の内容を元に、本作の暗号は作り出されたのだと思われます。 まとめ 今回はサマーウォーズに登場する暗号の答えの意味や元ネタについて紹介しました。 普通に見ていればそこまで気にする内容ではないですが、細部まで設定を作り込まれている事がわかりますね。 理数系でないと、さっぱりな内容だと思いますが、少し頭にい入れておくと、また違った形で作品を楽しむ事ができますね。 「サマーウォーズ」関連記事.

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ついつい口にしたくなる映画「サマーウォーズ」の名言特集!

サマーウォーズ 暗号 答え

小磯健二は、憧れの先輩・篠原夏希に、「4日間だけフィアンセの振りをして! 」とアルバイトを頼まれ、長野県の田舎に同行することに。 夏希の曾祖母を中心にご親戚に囲まれながらも、大役を果たそうと頑張る健二のもとに、謎の数列が届く。 数学が得意な彼は、夢中で答えを導きだすが、翌朝世界は一変していた。 世界の危機を救うため、健二と夏希、そして親戚一同が立ち上がる。 熱くてやさしい夏の物語。 映画「時をかける少女」の細田守監督・最新映画を完全ノベライズ。 【「BOOK」データベースより】 細田守さんが送る大人気映画のノヴェライズです。 こちから読んだ人はもちろんですが、映画を先に見た人でも十分楽しめる内容になっています。 すでに夏の風物詩となっていて、定期的に金曜ロードショーなどで放送される機会もあると思うので、ぜひノヴェライズの後に映画もチェックしてみてください。 この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。 ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。 スポンサーリンク 一夏のバイト 久遠寺高校に通う小磯健二。 彼は同じ物理部の友人・佐久間敬と一緒に、夏休みを利用してOZの保守点検のアルバイトをしていました。 そんな時、突然、学校のマドンナ・篠原夏希が部室を訪れ、二人にバイトの話を持ち掛けます。 バイトとは、夏希と一緒に田舎に旅行に行くという極めて簡単な内容で、健二は夏希に憧れているのでこれは唯一ともいえるチャンスです。 あいにく、募集人数は一人で、佐久間とジャンケンで決めることになりますが、健二は見事にバイトの権利を勝ち取るのでした。 数学が得意 東京駅で待ち合わせる健二と夏希。 目的地は、夏希の大おばあちゃんが住む長野県上田市でした。 大おばあちゃんの誕生日会があるが人手が足りないという話で、健二はそれを鵜呑みにしますが、その話には裏がありました。 道中、健二が数学オリンピックの日本代表を目指すも落選したこと、数学に関する類まれなる能力を持っていることが明かされますが、いまいち夏希にはピンとこず、距離を縮めるには至りません。 夏希が眠ってしまうと、健二はOZにログインし、エキシビションゲームを観戦します。 二つのアバターが戦いを繰り広げるゲームで、キング・カズマと呼ばれるウサギの姿をした戦士が圧倒的な強さを誇っていました。 まさしく世界一です。 健二は、自分も世界一になれば冴えない自分でも変われたのではと思い、日本代表を逃してことを後悔するのでした。 スポンサーリンク 婚約者のふり 上田駅に着くと、夏希の親戚と合流。 一緒に大おばあちゃんの家に向かいますが、道中でどんどん親戚の人数が増えていきます。 さらに、親戚一同の健二に対する視線には好奇が含まれ、夏希の様子もどこか変です。 健二は疑問を感じつつも、大おばあちゃんの家に着きます。 そこは広大な敷地にある立派なお屋敷でした。 まずは大おばあちゃんに挨拶することにしますが、健二は夏希の話にとにかく合わせるよう事前に指示されていました。 会うと、大おばあちゃんこと陣内栄は九十歳とは思えないほど活力に満ち溢れた人でした。 そんな栄に対して、夏希は健二のことを『彼氏』と紹介し、健二は驚きを隠せません。 そう、夏希は体調を崩した栄を心配し、安心させようと健二に恋人のフリをさせようというのです。 彼女がいたことなどない健二は夏希のお願いを拒否しますが、ここまできたら逃げ出すこともできません。 何より憧れの夏希の頼みということもあり、健二はなし崩し的に受け入れるのでした。 名家 食事の場で一同が会しますが、ここにいるだけで夏希の親戚は二十人以上。 しかもこれからまだ増えるといいます。 当然、みんなの興味は健二に注がれますが、栄は健二を立派なお婿さんだと認め、これには誰も異論を唱えません。 陣内家は栄で十六代になり、戦国時代から数々の戦を勝ち抜き、今の地位を築いてきた名家です。 健二は今さらながら、とんでもないバイトを引き受けてしまったと思いますが、一方でこの一時を楽しいと感じるのでした。 スポンサーリンク 来訪者 しかし、和気藹々とした雰囲気を一人の来訪者が壊します。 突然現れたのは、大おじいちゃんの妾の子ども・侘助でした。 侘助はかつて栄の山を売り、その金を持ってアメリカに逃げた経緯があり、親戚一同から嫌われていました。 そんな中、夏希は侘助に懐いていて、健二は面白くない思いをするのでした。 その夜、『Solve Me』というタイトルのメールが健二に届きます。 メールには暗号によく使われる疑似乱数が書かれていて、健二は一心不乱にそれを解きます。 解き終えると、解答を返信して眠りに落ちますが、翌朝、子どもたちに乱暴に起こされて客間に連れて行かれます。 テレビのニュースで、OZが大混乱に陥っていると報道され、そこには健二の顔写真が表示されていました。 ハッキング OZは現在、何者かによって不正アクセスされ、システムが次々に書き換えられていました。 そして、管理センターに侵入してハッキングを行っていたアバターは、まさしく健二のものでした。 健二はまさかと思ってOZにログインを試みますが、何度行ってもログインできません。 異変を感じ、佐久間に連絡をとると、昨夜、多数の人間にOZの認証パスワードに関するメールが送られていたことが発覚。 そう、健二が解いたあの暗号です。 とりあえず仮のアカウントをもらい、健二はOZにログインすると、そこでハッキングされた自分のアバターを見つけます。 しかし、圧倒的な力を前になす術もなくやられる健二ですが、そんな彼を助けるアバターがいました。 それはあのキング・カズマであり、その主は夏希の親戚で健二の隣にいる、池沢佳主馬という少年でした。 AI 一度はキング・カズマが偽健二のアバターを捕らえますが、親戚の子どもの妨害にあって佳主馬は偽健二を離してしまいます。 その隙に偽健二は行き交うアバターを食べ、成長します。 その姿は威圧感を放つ仏像のようで、先ほどと比べると段違いの強さでした。 しかし、またしても子どもたちの妨害にあい、佳主馬は敗北してしまいます。 健二は何とかキング・カズマを助け、佐久間の状況を確認すると、健二のアバターをハッキングしたのは開発中の実験用AIで、名前がラブマシーンであることが判明します。 その後、親戚一同にニュースのことが知れ渡り、健二の嘘がたちまちのうちにバレてしまいます。 そして犯人扱いされ、親戚の警察官に逮捕されて連れて行かれてしまうのでした。 栄の人望 その後もラブマシーンは活動を続け、OZに関係するあらゆる情報が錯綜し、日本中がパニックに陥っていました。 カーナビの情報があてにならないことで交通渋滞が発生し、パトカーで移動中だった健二たちは特例で一度、屋敷に戻ります。 OZは高いセキュリティがあったからこそ、あらゆる公共機関はOZを利用していますが、今回はそれが完全に仇となりました。 栄はこの状況を敵に攻め込まれているようだと感じ、あらゆる知り合いに電話を掛け始めます。 全国にいる人々を励まし、事態の収束に向けて出来ることをします。 これに健二も触発され、もう一度、OZの管理センターに入るために暗号を解きます。 一方、ラブマシーンも事態が収束に向かっていることに気が付き、その原因を探します。 そして見つけたのが、陣内家でした。 開発者 混乱はとりあえず解消し、一同は健二のことを見直します。 しかし、ラブマシーンを倒せたわけではないので、根本的な解決にはなっていません。 そんな中、ラブマシーンを開発したのが侘助であることが判明します。 侘助は今回の件について罪悪感を抱くことなく、ただ自分の成果を誇ります。 全ては、栄に認めてほしかったからでした。 しかし、栄は侘助を薙刀で切りかかり、侘助はその場から立ち去ります。 その夜、健二は栄と花札をすることになり、その中で夏希を託されます。 それに対して健二は、気弱ながらも支えたい意思を表明するのでした。 反撃 翌日、栄が亡くなり、陣内家は悲しみに暮れます。 女性陣は葬儀の準備を始めますが、男性陣は栄の仇をうつべくラブマシーンに反撃を企てます。 一同はスーパーコンピューターを用意し、電源は漁船から供給し、冷却は漁船にある大量の氷で行います。 これも陣内家のなせる業です。 そして、佳主馬の出番です。 キング・カズマの名前で果たし状を送ると、それにラブマシーンが応じて現れます。 ラブマシーンは大量のアバターを吸収してさらに狂暴になっていましたが、佳主馬は互角の戦いをします。 そんな中、佳主馬が目標のポイントにラブマシーンを誘導し、捕獲することに成功しました。 誰もが成功を確信しましたが、親戚の一人・翔太が栄の遺体を冷やすために冷却用の氷を持ち出し、スーパーコンピューターがオーバーヒート。 ラブマシーンを捕獲していた罠は崩壊し、ラブマシーンはさらに多くのアバターを吸収して巨大に成長します。 そんなラブマシーンにキング・カズマが敵うはずもなく、あえなく敗北するのでした。 そして、謎のカウントダウンが始まります。 諦めない 女性陣が葬儀の準備を進める中、夏希は健二のことを思い出していました。 栄が亡くなった時、夏希は悲しさのあまり、優しい健二に甘えました。 そして、健二は勇気を出して夏希の手を握ってくれて、男性が苦手な夏希も思わずその手を握り返したのです。 思い出して思わず顔を赤くする夏希ですが、その時、親戚の一人が栄の家族に宛てた遺書を見つけます。 夏希はそれを持って、客間の男性陣のもとに行きますが、モニターには謎のカウントダウンと共に世界中の原子力発電所、そして制御不能状態になっている小惑星探査機『あらわし』の映像が映し出されていました。 あらわしにはGPS誘導で任意の場所に落下させることができ、そのGPS制御にはOZのシステムが使われています。 ラブマシーンはGPSの制御アカウントを奪っていて、このカウントダウンはあらわしが世界中の原子力発電所のいずれかに墜落するまでの時間だと見られています。 この問題を解決するには、二時間以内にラブマシーンから制御アカウントを取り戻さないといけません。 そのためには佳主馬の力が必要で、佳主馬はこれから生まれてくる妹のことを思い、ボロボロになったキング・カズマで巨大なラブマシーンに挑みますが、瞬く間に敗北し、吸収されてしまいます。 ここにきて陣内家全員がことの重大さに気が付きました。 そして、健二だけはまだあきらめていません。 夏希は健二の姿に触発され、あるものを取りに行きます。 それは、侘助が栄に切り付けられた時に落とした彼の小型端末でした。 それで侘助に連絡をとると、栄が亡くなったことを伝えます。 妾の子どもとして疎まれていた侘助を優しく迎え入れてくれたのが栄であり、侘助は大急ぎで陣内家に戻ります。 遺言 侘助はまだ戻ってきていませんが、栄の娘・万理子が代表して栄の遺言を読み上げます。 そこには自分の死後のこと、侘助が帰ってきたらお腹いっぱい食べさせてほしいこと、みんなと一緒にいられて幸せだったことが書かれていました。 そして、そこに侘助が戻ってきます。 栄の遺言通り、まずは食事をとることにしてこれからのことを考えます。 栄の遺言のおかげで、絶望的なこの状況でもみんな笑っていました。 侘助はこれからラブマシーンを無力化するプログラムを組みますが、大量のアカウントを奪われた状態では本体にプログラムを打ち込むことはできません。 そこで今回の作戦の鍵になるのは、栄が勝負強いと太鼓判を押していた夏希です。 花札 カウントダウンが残り一時間を切った時。 ラブマシーンに対して、夏希の操る袴姿の女性アバターが勝負を仕掛けます。 選んだゲームは、夏希の大得意な花札です。 ラブマシーンは四億ものアカウントを持つのに対し、夏希が賭けるのは陣内家のアカウント二十人分です。 圧倒的に不利な条件ですが、夏希は持ち前の勝負強さで勝ちを重ね、着実にラブマシーンに奪われたアカウントを取り戻していきます。 アカウントが増えるとレートを上げ、大量のアカウントを取り戻すことに成功しますが、それでも時間はあまり残されていません。 夏希は次第に緊張感と重圧で冷静さを失い、ついに一敗してしまい、取り戻したアカウントのほとんどを奪い返されてしまいます。 今のレートでは夏希はゲームに参加できず、もはやダメかと思われました。 その時、『74』だったアカウントが『75』に増えます。 それは、夏希にアカウントを使ってほしいと言ってきたドイツ人でした。 それがきっかけとなり、世界中の人たちがアカウントを夏希に貸してくれます。 その数は一億五千万を超え、OZの守り神であるくじらのジョンとヨーコからはレアアイテムを授けられ、夏希はみんなの温かさに涙を流します。 これに対して、ラブマシーンはレートを一千万まで引き上げて勝負を仕掛けてきます。 しかし、夏希にもう迷いはありません。 圧倒的な力を見せつけ、ラブマシーンのアカウントが残り『2』まで減ります。 最後の勝負 歓喜する一同ですが、カウントダウンはなぜか止まっていません。 よく見るとそれは一つだけで、あらわしの落下先、それは陣内家でした。 ラブマシーンは管理センターに逃げ込み、内側からロックして中に誰も入れさせません。 もはやあらわしの任意のコース変更はできません。 陣内家は避難を始め、近所の人の誘導も始めます。 しかし、侘助と健二はまだ諦めていません。 もし今からでも管理センターから偽の補正情報を送れば、少しでも落下コースを変えることができます。 健二は佐久間に管理センターのロックの暗号を表示してもらうと、前のメールの時と同様、解読にかかります。 しかし、解き終わる前にラブマシーンは暗号を変えてしまい、その度に健二は解き直しを余儀なくされます。 夏希をはじめ、みんなが健二を励まし、健二は歯を食いしばって暗号を解きます。 そんな時佐久間は、健二が数学オリンピックに出場したのは世界一になって夏希と釣り合う男になるためと明かし、夏希を驚かせます。 しかし、残り二分。 もう間に合わないかと思われた瞬間、健二はボールペンとノートを置き、暗算で二千桁もの数字に挑みます。 頭を使い過ぎたために鼻血を流しますが、栄に言われたことを思い出して頭をフル回転させます。 そして、ついに暗号が解けました。 ラブマシーンがパスワードを変える前に管理センターの入口を開けると同時に、侘助のプログラムが完成してラブマシーンの無力化に成功します。 あとは、佳主馬に託されました。 キング・カズマはボロボロになりながらもラブマシーンの顔面に渾身のパンチをお見舞いし、見事撃退します。 結末 健二たちの頑張りによってあらわしの落下コースはズレ、なんとか助かりました。 後日、栄の遺影に向かって改めて誕生日のお祝いをします。 侘助はラブマシーンの開発者だと名乗り出ましたが、あくまで開発しただけで罪に問われることはありません。 そして、健二と夏希ですが、あれだけのことがあってもまだ一歩踏み出せずにいました。 しかし、それを親戚一同は許しません。 お膳立てをすると、見つめ合う二人。 健二は帰ったら話したいことがあると結論を濁しますが、夏希も待ってますと顔を真っ赤にし、誰がどう見ても答えは明らかでした。 一応の決着をつけると、健二は保留になっていたOZの暗号解読の件を説明するために理一と共に警察に出頭します。 理一からはサイバーテロ対策関係の仕事を勧められますが、健二はこりごりだと拒否します。 しかし、男は少しくらい謎めいている方がモテると言われると、詳しい話を聞かせてくださいと身を乗り出すのでした。 最後に 青春、家族、絆。 生きる上で大事なキーワードがたくさんつまり、それが見事に調和された夏の名作でした。

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